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土地や建物
不動産の所有者が亡くなった場合、相続人に所有権が移ります。
特に遺産分割協議などを行わない場合、法定相続分に応じて相続される形となります。
例えば、夫婦に子供二人がいる場合で夫が亡くなったケースですと
妻の持ち分=4分の2
子の持ち分=4分の1ずつ
となります。
持ち分(相続分)の考え方
持ち分の計算をする時の簡単な方法をご紹介します。
上記の例で言うと、亡くなられた方から一番遠い順位の相続人(子)を「1」とします。
同じ順位の相続人がいれば同様に「1」とします。
子より順位が上である妻の持ち分は順位が下の子二人の合計で「2」とします。
最後に全ての数字を足します(妻2+子1+子1=4)。
後は合計数である「4」をそれぞれ分母とすれば持ち分の計算は終了です。
仮に上記の例で子が3人の場合は、子のそれぞれが「1」となり、
子の合計数である「3」が妻となります。
全てを合計(妻3+子1+子1+子1)した数字の「6」を分母とすれば
妻=6分の3
子=6分の1ずつ
となる訳です。
注意
相続人が「妻と子」の場合は上記の考え方で問題ありませんが、夫婦に子供が居ないケースで、夫の親が存命の場合は少し話が変わります。
基本的な考え方は同じなのですが、相続の順位が遠い夫の親の持ち分を合計した後、妻の持ち分は親の2倍にしてください。
例えば、夫の親が一人だけ存命の場合はその親が「1」、妻はその倍の「2」となります。
ここからは同じ考え方で、全てを合計し(親1+妻2)、分母に充てると
妻=3分の2
夫の親=3分の1
上記が正解となります。
費用について
不動産の名義を相続人に変更する場合、登録免許税が必要になります。
不動産評価額の1000分の4(0.4%)が必要になります。
1000万円の不動産の場合、4万円が登録免許税となる計算です。
では、この「不動産評価額」はどこで判断するのかと言うと
毎年送付される「納税通知書同封の課税証明書」や役場で請求可能な「評価証明書」から見て取れます。
その他の必要な費用としては亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人の住民票取得費用などです。
これらの書類は登記申請時に「原本還付」という仕組みを利用することで手続き終了後に法務局より返却してもらえます。
不動産の名義変更をする義務はない
不動産の所有者が変わったり抵当権を設定したりした場合に必ず登記をしなくてはならない訳ではありません。
新しく建物を建てた場合は表題登記というものを必ずしなければなりませんが、その後の権利変動(所有者が変わる、住所が変わる、抵当権を設定する等)については義務化されておりません。
従って、不動産を所有している人(登記名義人)が亡くなったとしても相続人に名義変更しなくても何ら罰則などはありません。
ただし、登記を放置することにはそれなりのリスクもあります。
また、先々において余計な手間や費用がかかるケースもありますので早めに名義を変えておく方が良いことには違いありません。
登記名義を変えないことについてのデメリットはこちらをご参照ください。
それでも課税通知書は送られてくる
相続登記をしなくても、それまで亡くなった人宛に届いていた固定資産税の課税通知書は相続人宛に届くようになります。
これは不動産登記と課税対象者は必ずしもリンクしていないことを意味しています。
例えば、夫婦に子供がいるケースで夫が亡くなり相続登記をしなかった場合は妻宛に課税通知書が届くことが一般的です。
亡くなった人の死亡届を提出した時点でその人の戸籍に死亡したことが記載されることから、戸籍上の他の相続人が役場では簡単に把握できます。
その情報を基に役場は課税通知書を相続人宛に送ってきます。
相続による不動産の名義変更に限りませんが、不動産の名義を変える場合、新しく不動産を取得する人の「住所を証する書面」として住民票の写しなどを登記申請書と一緒に提出します。
これは、課税通知書をどこの誰に送るかを明確にするために添付する訳です。
こうしたことから相続による不動産の所有権移転登記を行わないケースでは、役場は戸籍情報を基に課税通知書を送るしか方法が無いとも言えます。