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現金(銀行預金等)
亡くなった人(被相続人)の銀行口座は凍結される、という話を耳にしたことがある人も多いと思います。
しかし、当然のことながら口座名義人が亡くなったことを金融機関が「知った場合」に限ります。
つまり、金融機関に口座名義人が亡くなったことを伝えない限りは基本的に口座は凍結されません。
色々と問題もありますが、口座名義人が亡くなった後もお金を引き出すこと自体は可能です。
考え方
銀行預金に限りませんが、亡くなった方(被相続人)の財産は死亡した時点で全ての相続人の共有財産となります(一部例外有)。
遺産分割協議を行わない場合、その財産は法律で決められた割合で相続人に相続されます。
例えば、相続人が子供二人の場合、それぞれが50%ずつという考え方で結構です。
上記の例で言うと不動産の場合、その相続人である子供はどちらからの申請であっても「単独で」不動産の名義変更手続きを行うことが可能です。
つまり、兄が弟の分まで相続登記を申請できることになります(兄2分の1、弟2分の1)。
では、銀行預金の場合はどうでしょうか。
兄が「自分には50%の相続分があるので、被相続人の銀行預金を半分引き出したい」と考え銀行に手続きをお願いしても受け付けてもらえません。
ここが、不動産の場合と大きく異なる点と言えます。
実際の手続きについて
被相続人の口座預金を引き出そうと思えば全ての相続人が全員で行う必要があります。
しかし、実際に手続きをする場合に相続人全員が金融機関に出向くことは非効率的であります。
そのため、相続人のうち一人が相続人代表となって金融機関に出向いて手続きをする形を取ります。
凍結された預金口座の解除(名義変更含む)は各金融機関によって取扱いが異なりますので注意が必要です。
手続に必要な書類としては
- 相続人全員の戸籍謄本(抄本)
- 相続人全員の印鑑証明書(原本)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
といったように多くの書類が要し、これらの必要書類も金融機関によって取扱いが異なります。
ポイント
遺言書があるケースでは手続きの内容が変わってきます。
詳しくは「遺言書について」をご覧ください。
注意すべき点
口座が凍結される、と言う事は金融機関は対象口座の入出金を全て停止します。
仮に凍結された口座が公共料金などの引き落とし口座として利用されていた場合、引き落としが出来ないため未納(滞納)状態となってしまいます。
このことから、被相続人の口座が凍結された場合で何らかの引き落とし口座とされている場合は請求先に対して名義変更手続きや支払先変更手続きを行う必要があります。
現金の場合
銀行預金のケースでは銀行が相続人の持ち分割合に応じて払い出しなどをしないにせよ、その「お金」自体は法律で定められた相続分に応じて相続されることは先にも述べた通りです。
しかし、「現金」の場合は考え方が異なります。
ここで言う「現金」とは預金以外のお金(タンス預金や亡くなった人のお財布に入っていたお金」という風に考えて下さい。
これらの「現金」は遺産分割の対象となるとされています。
つまり、相続人が勝手に「自分の分だ」という考えで使うことは許されていません。
別のページで紹介している動産などと同じように、「誰がいくら」という風に相続人間で取り決めをして初めて「現金」は使えるようになります。
この「誰がいくら」かを決めることを遺産分割協議と呼び、書面にまとめた物を遺産分割協議書と呼んでいます。
ご依頼頂くメリット
相続に関する手続きは色々とありますが、中でも金融機関に対する凍結された銀行口座の解除手続きは非常に面倒なものと言えます。
手続き自体は慣れてしまえば誰でも行えると思いますが、問題は被相続人の所有する口座は一つではないという点です。
例えば、不動産の相続手続きと比較をすると分かりやすいのですが、不動産登記の管轄窓口はその不動産の所在地ごとに決められており、同じ管轄内の不動産であれば一度に手続きをすることが可能です。
しかし、金融機関の手続きは当然のことながら各金融機関ごとに行う必要があり、口座数が多ければその数分の手続きをしなければなりません。
こうしたことから平日のお昼間(しかも15時まで)に御自身で手続きを行うことは非常に面倒であり困難であると言えると思います。
現在では郵送などの対応が出来る金融機関も増え、土日も相続相談に応じてもらえる金融機関も少なからずあります。
しかし、御自身で手続きをされるとなると戸籍の収集からつまづいてしまうと思われます。
弊所に御依頼頂ければ必要な書類の確保から窓口での手続きなど全てを行うことが可能です。
「金融機関の手続きだけお願いしたい」という御依頼でも喜んでお引き受けいたしますので遠慮なくお申し付けください。